【眠り研究:第9回】~高齢者の眠り~[褥瘡を知る2]

「眠り」研究

先日から始まった、新しい『眠りの研究』シリーズ。『高齢者の眠り』について。前回、高齢者が寝返りを打てなくなることで起こる危険、『褥瘡』についてお話をしました。今回は、さらに『褥瘡』の危険を増やす環境について、お話をしていきます。

眠りと『褥瘡』~褥瘡を知る2~

◎褥瘡とは……体が圧迫されることで血流が悪くなり、皮膚の壊死が起こった状態のこと。悪化により、表皮だけでなく真皮層、さらに奥まで壊死状態が進み重症化することもある。


前回、褥瘡の原因の一つは体圧の集中による圧迫だとお話しました。また、年齢を重ねると若い時とは違い皮膚の機能が落ちているため、圧迫の負担が大きいとも、お話しました。


 ※前回の内容はこちらから
 

皮膚の機能が落ちているところに、体圧が集中すると褥瘡になりやすいのですが、普段の睡眠時には、皮膚の機能を落とすもう一つの危険があります。


それが、『蒸れ』です。


「ヒトは寝ている間にコップ一杯の汗をかく。」と言われるように、たくさんの汗をかきます。この汗が、寝具、そして寝ている時の肌に蒸れを起こします。


〇皮膚は蒸れによって弱くなる

お風呂に入ったり洗い物をしていると、指の腹がふやけてしわができます。これは、指の腹の皮膚が水分によってふやけて膨張したために起こることです。指の腹部分は角質層が非常に厚いため比較的丈夫ですが、肌は水分に触れていると、すぐにふやけて柔らかくなります。こうして柔らかくなった肌は、摩擦や圧迫に弱くなってしまいます。そのため、お風呂上りの水滴はタオルでごしごしとこするのではなく、ポンポンとタオルを当てるように水分を吸い取らせないと肌を傷めてしまいます。

同じように、湿気でふやけた肌に摩擦や圧迫が起こる環境は、寝ている時にも起こります。

寝ている間にかいた汗が布団の中、衣服の中にこもるのです。特に敷き布団などに体が密着する部分は、汗も熱もこもりやすいため、この蒸れにより、肌はふやけて弱くなっています。そうした肌のまま、寝返りを打てずに体圧が集中してしまうと、褥瘡がよりできやすい環境となってしまいます。

褥瘡予防:『蒸れ』を防ぐには

ヒトが寝ている間に汗をかくのは普通のことで、これ自体を防ぐことはできません。また、同様にヒトが寝入る際には、体から熱が放散されますので、寝具の中には熱がこもりやすくなります。この、汗や熱がこもったままになり、肌がしっとり蒸れた状態が続かないように寝具や寝間着を選びましょう。


●吸水性吸湿性の良い寝具の利用

シーツや寝間着など、吸湿や吸水の機能、速乾性のあるものを利用しましょう。また、吸水吸湿の良い素材は水分が残りやすいため、しっかりと乾かしてから利用するようにしましょう。


●通気性の良い寝具の利用

寝ている間の汗や体熱がこもらない寝具を選ぶのも重要です。水分や熱がこもりにくい通気性の良い寝具を利用しましょう。

一般的に体圧分散に優れた寝具として低反発素材のマットレスが有名ですが、低反発素材は注意をしないと蒸れやすいものが多いです。低反発素材は柔軟性のないマットレスなどと比べ、体への密着度合いが強く隙間が無くなってしまいます。結果、熱も湿気も外に逃げにくい状況になってしまうからです。


mure.jpg


低反発素材を選ぶ際には、点で支える構造など体と寝具の間に隙間ができるもの、または通気性が良い素材のものを選ぶようにしましょう。


 熱と湿気がこもらず、蒸れないウェルピュアマットレス(WPM)は褥瘡予防にも効果的