【眠り研究:第16回】かゆみで眠れない!かゆみ原因の矛盾とは

【眠り研究:第16回】かゆみで眠れない!かゆみ原因の矛盾とは

「眠り」研究

前回から始まった眠れない原因「かゆみ」トラブルの第二回目です。

 かゆみの原因とメカニズムについてのお話はこちらから。

前回、『かゆみの原因』と、かゆみが起こる一番わかりやすい例として、肌に何かが触れた時にかゆみが起こる『かゆみのメカニズム』についてお話をしました。

【かゆみの原因の一例】

〇肌に何か触れた時

〇特定の食べ物

〇虫刺され

〇温度差

〇乾燥

〇肌が傷ついた時

〇意識

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ただ、ここには矛盾があります。肌にかゆみが起こる一番最初のきっかけは、『肌に何かが触れること』でした。

しかし、かゆみが起こる原因として挙げられた中には、『温度差』『乾燥』『意識』といった「肌に直接触れる」ことがないものもありました。これは、どうしてでしょうか。

肌に触れなくても起こるかゆみ

●肌センサーが過敏に反応することで起こるかゆみ

肌は、体に及ぶ危険を察知するセンサーです。
その精度には個人差があるものの、何かが触れれば「柔らかいか硬いか」「なめらかかざらつきがあるか」「熱いか冷たいか」など、体にとって危険なものかどうかを判断する材料を集めます。さらに、肌のセンサー機能はこれだけではありません。例えば、暑い寒いの気温の変化、風の有無がわかるように、直接肌に触れない刺激も察知します。時には、こうした刺激でもかゆみが出ることがありますが、これは違和感のようなもので、比較的すぐにかゆみが引きやすいと思います。

しかし、時にこのセンサー機能が過敏になってしまうことがあり、この場合にはかゆみが長く続く場合があります。

例えば乾燥肌になったとき、肌が傷ついている時などは肌のセンサーは非常に過敏になっています。普段なら気づかない刺激(自身の産毛やはがれかけた角質、微小なホコリ、汗など)にも反応し、かゆみの刺激になってしまうことがあります。冬に肌が乾燥し、粉がふくようなときに出るかゆみも、こうした状況で出てしまうものです。また、意識によっても肌の過敏さは増しますので、体にかゆみが出ている時など、意識するあまりちょっとした刺激にも余計にかゆみを感じやすくなってしまうことがあります。

●ヒスタミンによって直接起こるかゆみ

脳にかゆみを認識させる物質のヒスタミンは、肌センサーが反応しなくても分泌されるものでもあります。

例えば、『温度差』。急に冷えたり熱くなったりすることで体は体温調節のため、血管を収縮・拡張させます。この変化が刺激となり、ヒスタミンが分泌されます。

その他にも、虫の毒成分にヒスタミンが含まれており、虫刺されによりかゆみが発生する場合や、食物の中にヒスタミンが含まれ、食事で摂取することでかゆみが出てしまうこともあります。

このように『肌の敏感さが増した時』『ヒスタミンが直接作用した時』など、肌に何かが触れる以外にもかゆみは出てきてしまうことがあるです。そして、特にこの時期、眠れない『かゆみ』の原因には、この2つが関わることが多くなります。