外国人介護人材が休暇を取る時期はいつ? 帰省の時期について

外国人介護人材が休暇を取る時期はいつ? 帰省の時期について

外国人介護士

外国人介護人材が休暇を取る時期はいつ? 帰省の時期について

「労働者の権利でもある“有給休暇”は、外国人の場合はどうなんだろう?」
外国人介護人材を雇用するにあたってこのような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

外国人と日本人では価値観や文化が異なるため、休暇に対する考え方や取りたい時期が異なることが考えられます。違いを知らずに、外国人介護人材とトラブルになることは避けたいところです。互いの文化を理解できていれば、防げるトラブルです。事前に相手のことをしっかりと理解することが大切です。

前回のコンテンツでは、日本の労働基準法は外国人介護人材にも適用されることを確認しました。外国人介護人材も日本人と同じように有給休暇が取得できること、そして外国人材の多くは労働者としての権利を最大限に行使する可能性が高いことを確認しました。

今回は外国人介護人材の帰省の時期にフォーカスして、確認をしていきたいと思います。

<目 次>

事前に外国人の帰省時期は知っておくべき

外国人の帰省時期           

帰省しない、または時期をずらすことも 

まとめ                

       

事前に外国人の帰省時期は知っておくべき

外国人介護人材の休暇に関しては、気を付けるべきポイントがあります。それは「長期休暇を取る時期は日本人と違う」ということです。つまり、日本人ならまず取るはずもない時期に、長期休暇を取る可能性があるのです。このことを頭に入れておかないと、直前になってからでは対処できずにトラブルになる恐れがあります。

また、帰省時期は国ごとに違い、宗教や生まれた土地の文化や慣習によっても大きく異なります。そこで、次の章からは国ごとの帰省時期について紹介いたします。

外国人の帰省時期

ここでは、外国人介護人材が帰省を希望しやすい6つの時期を紹介していきます。

  • 年末年始
  • 旧正月
  • 清明節
  • 水かけ祭り
  • ラマダン
  • 国慶節
  • クリスマス

宗教や文化などによって、世界には様々な祝日や長期休暇があります。1つひとつ確認していきましょう。

① 年末年始

年末年始に関しては、日本では官公庁だと12月29日~1月3日まで、民間だとその前後も含めた長期休暇となりますが、海外では12月31日と1月1日だけ休みで、1月2日からは仕事が始まるというケースが多いのです。日本のように新暦の正月を祝うという国は意外と少ないのですね。

外国人も日本人と同じように年末年始に休暇を取ると思っていると、トラブルにつながる可能性もりますので、理解しておいてください。特にアジア諸国では、どちらかといえば新暦での正月よりも、次に説明する旧正月のほうが長期の休暇シーズンとなります。

② 旧正月

旧正月は、中国、台湾、韓国、ベトナム、シンガポールなどのアジア諸国で長期の休暇をとるシーズンです。人口の87%がイスラム教徒であるインドネシアでも、華人系の人々の間ではこの旧正月が長期の休暇シーズンとなります。また、この期間に中国からたくさんの観光客が日本を訪れることなどは有名な話でしょう。

休暇期間としては、旧暦では新暦と1年の数え方が異なるため毎年変更してしまいますが、基本的には1月下旬~2月中旬の土日を含む約1週間が休みになります。正確な期間は、その年ごとにインターネットなどで調べておく必要があります。ちなみにこの旧正月は中国では春節、ベトナムではテト、マレーシアではチャイニーズイヤーと呼ばれています。

この旧正月は、外国人介護人材にとっても、家族や親戚とお祝いをするためにそれぞれの田舎に帰省する時期になります。私たち日本人にとっての正月が、この旧正月にあたりますので、日本で働く外国人介護人材たちの中でも帰省を希望する人が多い期間となります。

旧正月.jpg

③ 清明節

続いて紹介するのは清明節という中国の祝日です。時期としては、これも旧暦によって変わるのですが、およそ4月の初旬ごろで、春分の日から15日後の祝日です。中国の人々はこの期間にお墓参りや宴会をして、彼らの先祖を想いながら食事を楽しむ習慣があります。故郷に帰省する人は少ないかもしれませんが、この時期に母国から家族が来て一緒に過ごすということもありえますので、休暇を取りたいと希望する人も出てきます。

④ 水かけ祭り

上座仏教の国々では、4月は水かけ祭りのシーズンです。タイのソンクラーンという水かけ祭りが有名ですが、ミャンマー、スリランカ、カンボジアやラオスなどでもあります。ソンクラーンの期間は4月13日から4月15日の3日間。この時期に彼らは故郷に帰って家族とゆっくり過ごします。タイのバンコクでは町中で水の掛け合いが行われることで有名になり、お祭りの雰囲気も強く多くの旅行者がこのお祭りを目当てにタイに来ます。

⑤ ラマダン

ラマダンはイスラム教徒が日の出から日没にかけて断食をする期間です。この文化は日本人でも知っている方は多いでしょう。ラマダンが行われる期間に関しても、イスラム暦によって毎年時期は異なりますが、だいたい5月を中心に4月から6月にかけての1ヵ月間で行われます。この時期になると日中は断食が行われるため、街がシーンとしています。イスラム教徒が多いインドネシアでは、この期間は勤務時間が変則になるため、注意が必要です。そして、このラマダンが終わった後の7日間はインドネシアでは最長の連休となるので、帰省を希望する人は多いでしょう。

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⑥国慶節

国慶節は中国における「建国記念日」です。毎年10月1日から7~8日間の日程で法定休日となります。北京の天安門広場で毛沢東主席が中華人民共和国中央人民政府の設立を宣言した1949年10月1日に由来します。秋の国慶節は、春の春節と並ぶ中国の二大大型連休となるため、非常に多くの人が家族や友人と過ごすために帰省したり観光に出かけたりします。

⑦ クリスマス

最後はクリスマスです。アジアでは、キリスト教徒がもっとも多いフィリピンが当てはまります。キリスト教圏ではクリスマスは日本の正月のような時期なので、家族と過ごすために帰省を希望する人は多いでしょう。最も重要な日は、12月24・25日の2日間です。ちなみにフィリピンではクリスマスの準備がスタートするのは9月からだそうで、街のショッピングセンターなどではクリスマスツリーやイルミネーションが飾られ始めます。11月にはプレゼント交換、12月には連日パーティーがあったりして、本番を迎えます。そして後片付けまで含めると2月頃までクリスマスシーズンが続くようで、日本のクリスマスより遥かに長い時間をかけてお祝いをします。

帰省しない、または時期をずらすことも

上記の①から⑦の時期に、外国人介護人材は帰省を希望する人が多いと書きましたが、全く逆のケースも想定しておく必要があります。なぜなら、外国人介護人材は日本にお金を稼ぎに来ているからです。多くの人が移動する時期は飛行機や電車のチケット代が高騰し、チケットそのものが入手できないこともあります。
そのため、外国人介護人材の中には「数年は帰省しない」「帰省時期をずらす」という考えを持っている人もいます。お金を使わないようにする、または、使っても出来るだけ出費を抑えたい、と考えているのです。そのよう人たちは、日本にいる同郷の友人・知人と一緒にお祝いをするそうです。そのために短期の休暇を希望するケースがあります。

いずれにしても、外国人介護人材の母国の文化や価値観を理解したうえで、外国人介護人材自身の考えや気持ちを理解することが、相互理解につながります。
こうした理解は、外国人介護人材の気持ちに寄り添うことになり、シフト調整時の配慮にもつながり、外国人介護人材が皆様の介護施設で働き続けたいという気持ちをより強くもつのではないでしょうか。

まとめ

海外の国々と日本では文化が異なるため、長期休暇を取得する時期も異なります。人によっては「一緒に働くって、なんか嫌だなあ」と感じる方もいるかもしれません。確かにそのような意見の方もいらっしゃいます。
しかし、チャンスと考えることもできます。日本人介護士と外国人介護人材の「休みたい」と思う時期が異なるということは、介護施設にとって現場のシフトを調整しやすくなるということになります。すでに外国人介護人材を雇用している介護施設の責任者は、
  ・ 余暇や子育てで土日に休みたい日本人介護士 ⇔ 土日の手当が欲しい外国人介護人材
  ・ お盆と正月に休みたい日本人介護士 ⇔ お盆と正月に休む理由が無い外国人介護人材
となるため、お互いにメリットがある!! 
と実感されています。

これからますます少子高齢化が進む日本において、介護現場における人材のグローバル化が避けられないことは皆様も十二分にご承知かと思います。世の中には様々な性格の人がいるように、様々な文化を持った人々がいます。様々な国の人たちが一緒に働く上では、互いに受け入れ合い、尊重し合うことが大事なのです。

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