外国人介護人材が休暇を取る時期はいつ? 労働基準法は外国人にも適用されます!

外国人介護人材が休暇を取る時期はいつ? 労働基準法は外国人にも適用されます!

外国人介護士

外国人介護人材が休暇を取る時期はいつ? 労働基準法は外国人にも適用されます!

「労働者の権利でもある“有給休暇”は、外国人の場合はどうなんだろう?」
外国人介護人材を雇用するにあたってこのような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

外国人と日本人では価値観や文化が異なるため、休暇に対する考え方や取りたい時期が異なることが考えられます。違いを知らずに、外国人介護人材とトラブルになることは避けたいところです。互いの文化を理解できていれば、防げるトラブルです。事前に相手のことをしっかりと理解することが大切です。

そこで、
① 労働基準法は外国人にも適用されます!
帰省の時期について
2回に渡り外国人介護人材の休暇の問題について考えていきましょう。

<目 次>

労働基準法は外国人に対しても当てはまる

労働基準法における有給休暇      

まとめ                

労働基準法は外国人に対しても当てはまる

まず前提として押さえておくべきことは、労働基準法を含む労働関係法令は日本人労働者だけではなく、外国人労働者に対しても適用されるということです。特定技能の在留資格で来日した外国人介護人材はもちろん、実習が本来の目的の技能実習生に対しても、適用されることが法律で明示されています。つまり、外国人も有給休暇を取得することができ、その日数も日本人と同じということです。

これは、「属地主義」という考え方に基づくもので、国籍に関わらず、日本に居住する者に対しては日本の法律が適用されるということです。労働基準法のみならず、その他の法律に対しても同様の解釈となります。ですから外国人労働者に対しても日本人と同じように有給休暇を取得できるようにする必要があります。

そして、外国人介護人材の雇用にあたり、外国人も日本人と同じように有給休暇が取得できるというこの権利について、受け入れ法人(介護施設)、そこで働く日本人介護士、ならびに外国人介護人材の3者全員が理解する必要があります。たとえば、外国人介護人材のみが知らずにいると、休暇自体を取りづらく感じる可能性があり、またその反対にこれを理解しているのが外国人介護人材だけであれば、受け入れ法人(介護施設)や同僚である日本人介護士との間でトラブルにつながる可能性があります。外国人介護人材も日本人介護士と同じように有給休暇が取得できるということを、受け入れ法人(介護施設)・日本人介護士・外国人介護人材の3者間で共有しておくことが重要です。

次に、外国人介護人材の多くは労働者としての権利である有給休暇を、特段遠慮することなく取得する傾向があるということも頭に入れておいてください。文化や価値観の違いによるものかもしれませんが、法律や就業規則で認められた権利を最大限主張する傾向があります。日本人の場合、有給休暇が残っていても、周囲の状況を慮り用事がなければ無理にすべて消化してしまおうとはしないかもしれません。これはデータ上でも明らかになっており、日本人の年次有給休暇取得率は約50%(2019年)とヨーロッパ圏(100%~90%前後)はもとより、アジア圏(100%~70%)と比較して非常に低い数字となっています。しかし、この日本の価値観が外国人労働者にも当てはまるとは考えないことです。外国人介護人材は最大限の労働者の権利を要求してくると考えておいてください。とはいえ、法律や就業規則の範囲内であれば認めてあげる必要はあります。

有給休暇取得に関して言えば、遠慮する日本人介護士と遠慮しない外国人介護人材がともに気持ちよく働くためには、受け入れ法人(介護施設)側が双方に働きかけて文化や考えの相互理解を促すことに加えて、日本人介護士が有休を取得しやすい環境を整備することも重要なポイントです。

労働基準法における有給休暇

ここまでで、外国人介護人材は、
  ① 日本の労働基準法を含む労働関係法令が適用されること
  ② 法律や就業規則で認められた権利を最大限主張してくること
この2点を説明しましたが、労働基準法の中で労働者が取得できる有給休暇に関してどのように定められているのか、労働基準法における有給休暇についておさらいします。

有給休暇は、労働基準法の「年次有給休暇」第39条で、「使用者は、その雇い入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と定められています。

また、労働者はいつでも自由に休暇を取得できますが、それによって事業の正常な運営を妨げる場合に限り、使用者は他の日に有給休暇を振り替えられる「時季変更権」を主張することが出来るのです。

つまり、適正に勤務している労働者に対しては年に10日以上の有給休暇を与えなければなりません。また、労働者が有給休暇の取得を希望する日が業務に支障のでる日であった場合は、その他の日に振り替えて有給休暇を取らせてあげないといけないということです。これらの2点については、外国人介護人材も日本人介護士と同様に対応する必要がありますので、注意しましょう。

まとめ

今回は、有給休暇をテーマに、外国人介護人材にも労働基準法が適用されることを確認しました。
残念なことに、今日の日本でも、外国人労働者を安い使い捨ての労働力としてしか考えていない介護施設が散見されるようです。

2020年10月9日に厚生労働省が発表した資料によると、2019年に労働基準監督署が外国人技能実習制度で外国人材を受け入れている9,455事業所に対して監督指導を行った結果、6,796事業所つまり約72%の事業所で労働関係法令の違反が見つかったと報告されています。

外国人介護人材を受け入れている介護施設の大多数は、適正な労使関係を築かれていると思います。しかし、介護施設や介護現場からの問合せには、
  ・ 外国人材には最低賃金だけ払えばOKか?
  ・ ボーナスなんていらないんだろう?
  ・ 雇用契約は、法人が希望した時にすぐ解除できるのか?
といった、使い捨てを連想させるような内容もあり、旧態依然とした外国人労働者の待遇・環境問題に根深さを感じます。

外国人介護人材に対して、日本人介護士と同様の適切な労使関係を結ぶことができない介護施設は、外国人材を受け入れるべきではないでしょう。

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