技能実習から特定技能へ 慌てないスケジュールの作り方

技能実習から特定技能へ 慌てないスケジュールの作り方

外国人介護士 <特定技能>

技能実習から特定技能へ 慌てないスケジュールの作り方

 

技能実習生を受け入れている介護施設様にとって、3年間働いてくれた実習生は貴重な現場戦力と言えるでしょう。このまま仕事を続けて欲しいと願ってはいるものの、技能実習2号の修了時期が近付くと、技能実習生には3つの選択肢が用意されます。

① 習得した技能を母国で生かすため帰国する 

② 技能実習3号へ移行する 

③ 特定技能へ在留資格を変更する

(※介護福祉士試験に合格する・結婚する等の希少な事例を除きます)

 今回は「③ 特定技能へ在留資格を変更する」場合の注意点のうち、特に重要な<スケジュール>についてご説明いたします。

 

<目次>

在留期間満了日から逆算して考える

外国人材の意思を確認する

在留資格変更許可申請書は誰が作成するのか

 

◆ 在留期間満了日から逆算して考える

今回は、介護の技能実習生の在留期間満了日を11月30日として考えていきましょう。

在留資格「技能実習2号」から「特定技能」へ変更するためには、

◯ 在留資格変更許可申請書

を最寄りの出入国在留管理局(以下、「最寄りの入管」と称します)へ提出し、許可を得る必要があります。この書類を提出できるのは、在留資格を変更する事由が生じた時から在留期間満了日以前までとされていますが、おおむね在留期間満了日の3ヵ月前から受付可能なようです。つまり、9月1日から提出することが可能となります。

変更許可申請の審査期間は2週間~1ヵ月とされていますが、入管に問い合わせた所「技能実習から特定技能への変更の場合、一から書類をチェックするので、特定技能の標準的な処理期間を想定した方が良い」と言われました。特定技能の標準的な処理期間を調べると約2ヵ月とされていますが、提出する書類の出来・不出来や提出する最寄りの入管の込み具合、季節(留学生の多い時期等)によって異なります。

在留期間満了日が間際に迫って申請書類を提出しても、最寄りの入管から許可が出るまでは特定技能の在留資格で働くことはできません(技能実習の在留期間満了日が過ぎたら、技能実習生として活動することもできません)。就労の空白期間が生まれる可能性があるため、余裕をもって書類を提出することをお勧めいたします。

 

在留審査処理期間(日数)の公表について(出入国在留管理庁HPより)

https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00140.html

 

◆ 技能実習生の意思を確認する

9月1日に最寄りの入管へ在留資格変更の申請書類を提出することを目標としたならば、最も重要な技能実習生の意思確認をおこないましょう。ここでの選択肢は、大きな意味で2つに絞られます。

① 帰国する  ② 日本での就労を継続する

<① 帰国する>を希望している場合、補充人員をどうするか、検討が始まります。

<② 日本での就労を継続する>を希望している場合、技能実習3号と特定技能が選択肢となります。

ここで必要となるのが、技能実習生への【 説 明 】です。技能実習3号に移行する場合にはどうなるのか、特定技能へ移行する場合にはどうなるのか、正しい情報を実習生に伝えなければなりません。

帰国か就労継続か。 技能実習か特定技能か。

実習生が決断するためには時間が必要です。できれば来日3年目に入ったころから<①帰国する>と<②日本での就労を継続する>の選択肢を伝え、定期的な情報提供や面談で意思決定を促すことが必要です。介護施設様から情報を得た実習生は、いろいろ調べ始めるでしょう。3号が得なのか、特定技能が良いのか、様々な意見や情報が氾濫しているため、頭が混乱するでしょう。だから定期的に面談し、情報の整理をしてあげることが大切です。

「まだ1年近く先の話」と思っていると、あっという間に在留期間満了日を迎えます。放置していると実習生の希望が叶えられず、介護施設様への不信につながるので注意しましょう。

また、技能実習3号へ移行するには介護施設様および監理組合に対する条件もあります。条件を満たしていない場合は3号へ移行できない可能性もありますので、こちらも注意が必要です。

 

◆ <在留資格変更許可申請書>は誰が作成するのか

在留資格変更許可申請書の作成は、原則として① 外国人介護人材の受入法人様 ② 外国人本人 ③ 行政書士 ①~③による作成しか認められていません。

※変更許可申請は、様々な在留資格の変更申請となるため、外国人本人による申請も認められるケースがあります。

技能実習から特定技能への変更申請の場合、②の外国人本人による作成は無いでしょう。実態としては①または③が選択肢となります。①または③のいずれの場合であっても、申請書の作成には1ヵ月程度必要だと考えるのが良いでしょう。9月1日に最寄りの入管へ書類を提出するならば、遅くとも8月1日には書類の作成をスタートさせる必要があるのです。

 

◆ 次回へつづく

今回は技能実習から特定技能へ在留資格を変更する際のスケジュールにおいて、一番核となる部分をお伝えしました。在留期間満了日を基準に話を進めていますが、最も重要なのは介護技能実習生が3年目に入ったら、今後どうするのかを早い時期から話し合うことです。介護技能実習生は2年間必死だったため、1年後のことに頭が回らないと思います。また、話し合いを始めても、すぐに結論が出ない場合も多いでしょう。在留期間満了日を11月30日と仮定して、9月1日に変更申請の書類を最寄りの入管に提出するスケジュールは、かなり余裕を持たせています。しかし、往々にして予測できないことが生じスケジュールは狂います。狂って後ろ倒しになることを前提に、準備を進めてください。

次回は、在留資格変更許可申請書を最寄りの入管へ提出するに当たり、申請書作成のスケジュールに影響する<外国人支援><介護技能実習評価試験>について等をご説明いたします。

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