【眠り研究:第12回】介護する側から寝返り介助を見る②
「眠り」研究
前回から始まった、介護する側から見る、寝返り介助についてのお話。初回は、今、必要な介助の把握をすることに重点を置いてお話をしました。今回は、介護する側の意識の持ち方について考えてみました。考え方一つで、介護する側の負担が軽くなることもあります。
「自分が頑張る」から「ずっと頑張れる方法」を考えていく
高齢者の介護はリハビリすることで好転することもありますが、多くは、加齢によりだんだんと介護度が重くなっていくものです。
また、介護は身近な方に対して行うことが多いので、周りに頼らず「自分がしなければ」「大変でも大変と思わないようにしよう」と介護を頑張りすぎてしまう方も多いです。
日本の文化の中で、家族の介護はたとえ負担が大きくても家族だけで喜んでするのが美徳とされる部分がまだまだあります。しかし、そうした考えでは長く介護を続けるのは難しいです。
介護する側が疲弊しきってしまっては、介護が必要な方、介護をする方のどちらにとっても大変つらい状況になってしまいます。
そこで、介護が必要な方のためにも、「自分が頑張る」と思っている方は「ずっと頑張れる方法」を考えてみるのはいかがでしょうか。
介護は、体力面と精神面のいずれにも負担がかかるものですから、できるだけ負担がかからないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。
具体的にはどうしたらいい?
長く介護を続けていくには、「周りを巻き込んでいくこと」が重要です。
それは、家族や友人、介護のプロの方へ悩んでいることや現状を伝えてみたり、情報収集のため「何かいいもの(方法)はないか?」と、問い合わせてみることです。
結果、介護を分担できたり、介護の負担を減らすサービスの情報を得られたり、大なり小なり、影響が出てくるものです。
また、次のような方法もあります。
●介護のプロのアドバイスを得る
介護が始まった時、自分でいろいろと試しながら良い方法を探っていくことも良いのですが、それには根気と時間が必要になります。そこで、プロや経験者にお願いし、介助が必要な家族の体の状態に合わせて行われる介助、ケア方法など教えてもらいながら学ぶと時間が短縮できます。
またこの方法であれば、独学で「これが正しいのかな?」ともやもやとする不安を抱えずにすみ、精神的にも負担が軽くなります。こうして、『プロのアドバイス』や『経験者のアドバイス』をもらうことを積極的にしていきましょう。
●便利なものを積極的に検討する
『プロのアドバイス』や『経験者のアドバイス』をもらうことで、介護用品の他にも、防汚加工がされ手入れが簡単な寝具、寝返り補助のスライディングシートの利用、クリーニングサービスなど、介助や生活を助ける情報が得られると思います。こうした情報を元に、「自分が頑張る」ではなく、手放せる作業を考え、どんどん手放していきましょう。
●定期的に利用品を見直す
物もサービス日進月歩で進化しています。ずっと同じものを大事に使い続けることも重要ですが、定期的に利用品を見直してみてください。すぐ乾き洗濯の負担が少ない衣服、汚れが落ちやすい洗剤など、介護生活が楽になる新商品が出ているかもしれません。
また、リクライニングベッドなどは介助が必要ない時から使える、インテリアになじみやすいものも出てきています。これまで、「それは大げさだ」と介助される側が利用を嫌がっていたものも、受け入れやすくなっている場合があります。
今回はここまで。
前回に引き続き、今回も当たり前のこと。と、言われる内容です。ただ、介護が生活の中に入ると、目の前にやるべきことが多すぎ、また、どうしても感情が先に走ってしまい、負担を冷静に見直すことを忘れてしまうことも多いものです。
実は今回の内容を取り上げたのは、記事作成者の私の家族で起こった介護問題がきっかけです。私の母は、介護をする生活の中で「自分が頑張る」と頑張りすぎ、疲れ切ってしまいました。でも、周りを巻き込み、「それでいいんだ」と考え方を変えることで、私を含めた家族も、周りの人も、自分ができることを考えるようになり、結果、みんなの負担が減りました。負担を一人で抱えないよう、みんなが考え、関わっていくことができれば、負担は少なくなるのではないでしょうか。