介護業界は焦るべからず!「特定技能」はスピード違反の法整備

外国人介護士 <特定技能>

年内に具体像を明らかにする方針

日本経済新聞や毎日新聞などの主要各紙によりますと政府は17日、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法に基づき、年内に策定する「基本方針」や「分野別運用方針」に加え、外国人の受け入れ策を盛り込んだ「総合的対応策」の素案を自民党法務部会に提示しました。先の臨時国会の閉幕からわずか1週間しか経過していませんが、スピードを重視して新制度の実施を確実にしたい政府の意思が強く伺えます。

日本語試験・技能試験の方針

新在留資格「特定技能1号」は、5年間の受け入れ見込み人数約34万人を上限とし、うち介護分野は最も多く6万人となっています。但し、訪問介護は対象外となっているので注意が必要です。また、人材が大都市に集中しないよう必要な措置を講じることも盛り込まれました。地方創生交付金を活用した財政支援を念頭に、自治体独自の外国人支援策を促すこととなります。

特定技能1号の在留資格を得るために必要な日本語試験を、当面9ヶ国(ベトナム・中国・フィリピン・インドネシア・タイ・ミャンマー・カンボジア・ネパール・モンゴル)で実施する方針であることがわかりました。これら9ヶ国とは外国人技能実習制度の二国間協定と同様に、介在する悪質ブローカーを排除するため、来年の3月までに政府間文書の作成を進めることにもしています。

また、宿泊業・介護・外食業に関しては、来年の4月より1号の技能試験を始める予定であることも判明しました。更に介護分野に関しては、母国で一定レベルの専門教育を修了していることを条件に、技能試験の免除を認める調整に入っています。具体的には母国の看護学校の修了者などを念頭に置いており、今後具体的な内容が示されるものと思われます。

「総合的対策」で外国人労働者を守る

外国人労働者が安心して暮らせる基盤づくりも急務となっています。総合的対策では医療や福祉、防災など各分野の行政サービス多言語化や一元的相談窓口の設置推進が柱となっています。この他にも、劣悪な労働環境から外国人を守るための監督強化や日本語学校の基準厳格化、社会保険加入の促進、医療費問題への対応などが列記されており、政府の取り組みに対する本気度が伝わってきます。

しかし、具体的な取り組みを自治体・担当省庁・医療機関など現場に委ね、実現への筋道や期限がはっきりしない項目も目立ちます。性急な枠組みの構築が現場の混乱を招き、対策が後追いとなってしまっては、外国人労働者を守るための施策が逆効果となる可能性は否定できません。

特定技能での受け入れには、相応の覚悟を

受け入れ法人には外国人介護士を直接雇用することが求められるだけでなく、職場環境や日常生活、社会生活に対する支援も義務付けられています。不法滞在や不法就労とならないよう外国人介護士を管理する必要もあります。 

外国人技能実習制度では、国が許可をした受け入れ監理団体が窓口でしたが、特定技能では仲介役の立場が定まっていません。悪質ブローカーをどのように見分けるのかは受け入れ法人の目利きにかかっており、技能実習制度のように「優良な団体」と「それ以外の団体」に国が分けてくれないので注意が必要です。

何か問題が発生すれば、悪質受け入れ法人=「ブラック法人」のレッテルを貼られることとなります。それを回避するために様々なノウハウを持った登録支援機関に支援を仰ぐこともできますが、「お客様」と「取引先」という関係となる以上、例えば残業代の未払いが常態化していた場合など、支援機関がどこまで強く指導できるか疑問も残ります。

更に、特定技能で入国した外国人介護士は転職が可能です。外国人介護士の目的は「お金を稼ぐ」ことですから、せっかく費用と時間と労力をかけて採用&教育した外国人が、より多くの貯金が、仕送りができる施設へと移り替わることは、予め覚悟が必要です。

最後に

政府が非常に急いでいるのは、11月28日の「新在留資格「特定技能」は期待できない?! 入国管理法の改正案が衆議院を通過!」でも記載しましたが、来年の参議院選挙を見据えた自民党の集票戦略であることを忘れてはいけません。地方の産業界から、人手不足解消のための外国人労働者受け入れ拡大を陳情されたからに他なりません。
特に介護分野は人手不足が深刻で、技能試験が一番早く開始されたり、技能レベルが緩和される可能性を示唆されたりするなど、前のめりとなっています。

しかし、制度の不備が原因でも「ブラック法人」のレッテルは剥がせません。特定技能の活用は不備が改善されてからでも遅くないと思います。

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