EPAでの外国人介護士の受け入れに際し事業所に求められる要件とは?

外国人介護士

EPAは現在、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国との二国間協定が存在することにより、その内容の遵守が何よりも求められます。そのため、受け入れを希望すればどの施設でも可能という制度ではありません。ではEPAを活用できる施設とはどういう施設なのか、どういったルールがあるのか、今回の記事では主となる「施設」、「研修体制」、「働く環境」、「報告義務」というポイントについてそれぞれ解説をしていきます。

施設に求められる要件は「実習のための環境が整備されているか」

施設の要件でまず大前提となるのが以下ポイントをクリアしているかどうか、という点です。

  • ・定員30名以上であること
  • ・訪問介護、外部サービス(介護を外注すること)利用型の事業所ではないこと
  • ・施設の実習環境が充実していること、介護職員の人数と能力が充分であること

EPAを活用した受け入れで来日する外国人は等しく、「介護福祉士の候補者」扱いとなります。そのため、彼らが介護福祉士に合格することを重要視しなければなりません。その体制が整っていなければ受け入れはできないということになります。国際厚生事業団(以下、JICWELS)が配布している「2019年度版 EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者受入れパンフレット」には、以下のような記載があります。

  • ・介護福祉士養成施設における実習施設と同等の体制が整備されていること
  • ・介護職員の員数が、法令に基づく職員等の配置の基準を満たすこと
  • ・常勤介護職員の4割以上が、介護福祉士の資格を有する職員であること

施設の設備が整っていないと、実務研修は成り立ちません。そして、教える側がしっかりとした能力を有していないと、教えることはできません。また、職員数が充当されていないと、教える時間もままなりません。考えてみるといずれもEPAの目的を踏まえれば当たり前のことばかりと言えます。逆に言えば、この要件を満たしていない場合、何かしらの不測な事態が発生しかねないため、受け入れは容認できないということです。

介護福祉士に合格できる研修体制が整っているか

次の要件が研修体制です。施設としての要件は満たしていても、実際の研修がしっかりとおこなわれなければ介護福祉士への合格もままなりません。そのため、以下の観点を踏まえた研修プログラムを構築することが要件と言えます。

  • ・介護福祉士の国家試験合格に向けた受験勉強の計画整備をおこなうこと
  • ・受験勉強ができるためのベーススキルとなる日本語の勉強を充実させること
  • ・就労1年目はベーススキル(介護の日本語力および介護の知識・技術の修得)を固めること
  • ・就労2年目は資格合格に向けた基礎学習(国家試験の基礎知識の獲得)を進めること
  • ・就労3年目はより実践的な資格合格のため学習(国家試験合格への本格的な受験学習)を充実させること

上記を達成するために研修責任者は施設内外のリソースをフルに活用し、研修実施に必要な体制を構築することが求められます。そのため、研修責任者には誰もが就けるわけではありません。JICWELSでは以下のように定義しています。

“研修責任者は、原則として、5年以上介護業務に従事した経験があって、介護福祉士の資格を有するものとすること。なお、研修責任者には介護福祉士実習指導者講習会を修了し、かつ介護福祉士の資格を有するものが含まれる。”

要するに、介護福祉士の資格を持ち、一定期間の実務経験があるか。もしくは介護福祉士実習指導者講習会を修了しているか。責任者には教える人を管理できるスキルが求められているということです。

働く環境が最低限を上回っているかどうか

EPAでの受け入れは実習という形式で、現場での業務に従事してもらうことになります。一般的な企業でもそうですが、教えているから無給というのはあり得ません。労働関連法規に基づき、最低限の水準を満たした雇用条件の元で働いてもらうことが前提です。また、外国人だからといって給与の額に差別をすることも禁じられています。「コストが安い労働源」という考えは通用しません。

また、受け入れた外国人は来日時点では当然ながら居住するところはありません。この点も受け入れ施設側で用意をすることが求められます。また、万一帰国するとなった際の費用の捻出なども担保せねばなりません。すなわち、人権意識に基づいた対応をしましょうということです。

しっかり研修しているかを報告できるかどうか

ここまで説明してきた、「施設」、「研修体制」、「働く環境」がすべて揃っていたとしても、実際にしっかりと研修がおこなわれていないと意味がありません。そこでJICWELSでは定期的な報告やイレギュラーな事態が発生した際の報告を施設に義務付けています。また、JICWELSは必要に応じて施設へ巡回訪問もおこなっています。それを拒否するなどした場合、以降の受け入れは3年間できなくなります。巡回訪問は不正行為が施設でおこなわれていないかどうかを確認することを主目的としているため、拒否するということは何かしらの理由がそこにはあるはずと容易に推測できます。そのため、拒否する施設に対しては厳しい対応をおこなうことで不正を予防していることになります。

まとめ

EPAでの受け入れは施設にとって大きな負担を要求します。しかし、EPAはあくまで人手不足解消のための手段ではなく、経済交流の一環として成立したものです。そこを鑑みればこれは当然の要件であり、逆に体制が充実していなければ受け入れはできないというのは納得できるものでしょう。

ただ、現実問題として人手不足の受け皿としての活用を検討するケースもあります。その時には技能実習制度や留学制度など、他制度も含めて議論の遡上に載せ、自らの施設ではどれを選択すべきか、という観点からおこなうのが望ましいと言えるのではないでしょうか。

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