国ごとに異なる、EPAでの外国人介護士受け入れの流れ

外国人介護士

EPAで外国人の介護福祉士候補者の受け入れを検討する際、現在はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国の人材が対象となります。EPAは二国間協定となるため国ごとに締結した内容により、それぞれ微妙に異なるところがあります。なかでも少しわかりづらいのが、受け入れ~採用に至る流れの部分です。

この記事では、共通する部分が多いインドネシアおよびフィリピンと、ベトナムとを分けて流れを解説していきます。

インドネシア・フィリピンを対象とした受け入れ、採用の流れ

この二国とはEPAの締結年度が2008年(インドネシア)、2009年(フィリピン)と近い時期に結ばれ、共通事項が多いのが特徴です。

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入国前から入国後、受け入れ開始までの流れは上記の通りです。マッチングは日本国内で「公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)」のマッチングプログラムで自動的におこなわれることになります。事業者と候補者は双方が自分の希望を提出し、プログラムが希望をもとに自動的にマッチングをおこなうという仕組みです。マッチング後、雇用契約を締結した上で母国での6ヶ月間に渡る日本語研修を受け、N5レベル相当の日本語を習得した上で来日します。

インドネシアとフィリピンで異なる点

なお、インドネシア経由の候補者はN5レベルを担保する日本語能力試験を受け合格してからの来日となります。フィリピン経由の場合、受験義務はありませんが、フィリピンとは政府間において現在調整中となっています。しかし、両国とも受験の有無を問わずN5レベルの能力を有している前提は変わりません。「日本語能力試験を受験するかどうか」という点が現時点(2018年8月)で異なっています。

また、それ以外にもマッチング前の段階、募集要項で要求される資格要件がそれぞれの国で若干異なります。インドネシアの場合は、「高等教育機関(3年以上)卒業 +インドネシア政府による介護士認定」もしくは「看護学校(3年以上)・大学の看護学部を卒業」が資格要件として定められています。フィリピンでは「4年制大学卒業 + フィリピン政府による介護士認定」もしくは「フィリピンの看護学校(学士)(4年)卒業」となっています。これらの違いは両国の教育システムや体制などが違うことにも起因していますが、大きな違いはないと見てよいでしょう。

二国の求める資格を比較すると明らかですが、原則として一定の教育水準と介護スキル(もしくは看護スキル)を有していることが大前提となります。そのため、マッチング前は日本語スキルがゼロに近いものの、あくまで個々人によるとは思いますが、全体的には言語習得能力も比較的高い傾向にあるものと考えることができそうです。

ベトナムを対象とした受け入れ、採用の流れ

次にベトナムの場合ですが、大きな特徴はマッチング前に日本語研修が12ヶ月間、現地にて施されることです。このあたりはEPAの概要の記事にも書きましたが、ベトナムが政府として日本への送り出しを重視していることと無関係とは言えないでしょう。

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ベトナムの場合の受け入れの流れは上記の通りです。赤字部分がインドネシア、フィリピンと異なるところですが、訪日前研修後の日本語能力試験N3合格者のみマッチングに進むことができるため、受け入れ側としては大きな安心材料と言えます。来日後は3ヶ月弱の短い研修後に現場での業務に従事しますが、この期間を短いか適切かというところは事業所によっても判断が分かれるところかと思われます。しかし、国家資格への合格率などを見ると一定の評価ができると言えるかもしれません。(合格率については別の記事にて触れる予定です)

また、ベトナムにおける募集要項上の資格要件ですが、「ベトナム国内における3年生または4年制の看護過程を修了した者」となっており、インドネシア、フィリピンとは異なり看護系統の学校の修了以外は条件を満たさない点には注意が必要です。

まとめ

EPAでの介護福祉士候補者受け入れの場合、基本的に「一定の教育水準を有し、来日前に一定の語学研修を経た人材が来日する」ということになります。しかし雇用契約締結前にN3の日本語スキルをマストとしているベトナムと、そうではないインドネシア、フィリピンとでは受け入れ側の安心感が違います。インドネシア、フィリピンからは青田買い、ベトナムは果実を買う、という見方ができるかもしれません。

また、日本国内においてそれぞれの国ごとに受け入れの上限数を設定していることや、各国の人材のニーズなども考慮する必要があり、受け入れ側の要望そのままに人数を確保できるわけではありません。平成30年度の求人倍率(求人数/各国の雇用契約締結予定者数)は、ベトナムで3.7倍、インドネシアで1.6倍、フィリピンで2.2倍となっています。EPAでの受け入れを考える場合、これらの数字が突きつける現実をもとに、どのような対策を立てるかという点もポイントになることでしょう。

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