特定技能外国人介護士へ介護施設が行う支援〈2〉(住宅や生活について)

【解説】特定技能(介護)

新たな人材確保として注目される 介護分野の「特定技能」について  Vol.9 

新しい在留資格「特定技能」では、「1号特定技能外国人支援計画」に基づいたサポートが求められています。 初めて日本にやってくる外国人介護士に対して仕事面だけでなく、日常生活の支援も必要になります。介護施設が行うべき支援について、前回の(出入国など)に続き、今回は住居や生活に関することについて取り上げます。

<目 次>

支援計画のおもな内容(1)〜(9)  

(3−1)適切な住居の確保に係る支援 

賃貸借契約は誰が連帯保証人になるのか?

社宅の場合の条件は?         

(3−2)生活に必要な契約に係る支援 

(4)生活オリエンテーションの実施  

まとめ〜生活環境を整える       

支援計画のおもな内容(1)〜(9)

1号特定技能外国人として日本にやって来る外国人介護士に対して、受入れ機関である介護施設では、「1号特定技能外国人支援計画」(以下「支援計画」)に基づいて支援を行うことになります。

介護施設が策定する支援計画に含まれるおもな内容は以下です。

[1号特定技能外国人支援計画の内容等]
(1)事前ガイダンスの提供
(2)出入国する際の送迎
(3−1)適切な住居の確保に係る支援
(3−2)生活に必要な契約に係る支援
(4)生活オリエンテーションの実施
(5)日本語学習の機会の提供
(6)相談又は苦情への対応
(7)日本人との交流促進に係る支援
(8)外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援
(9)定期的な面談の実施、行政機関への通報

今回は、(3−1)(3−2)(4)について解説します。

(3−1)適切な住居の確保に係る支援

外国人介護士が来日したら、日本での住まいが必要です。賃貸借契約は誰がどのように行うのでしょうか。また、契約の際の連帯保証人はどうなるのでしょう。
外国人介護士の住居についての支援は、次のように定められています。

【適切な住居の確保に係る支援】

[義務的支援]
住居の確保に係る支援について

①外国人が貸借人として賃貸借契約をする場合、住居探しを補助する。賃貸借契約に際し連帯保証人が必要な場合には、介護施設が連帯保証人となったり家賃債務保証業者を確保したりする。
②介護施設が賃借人となって賃貸借契約し、外国人介護士に住居を提供する。
③介護施設が所有する社宅等を外国人介護士の住居として提供する。
 →外国から直接入国してくる場合、①のケースは、ほぼないでしょう。
 →②は借り上げ社宅といえ、③の自社所有社宅と考え方は同じです。外国人介護士にとっても介護施設にとっても現実的な方法といえます。

居室の広さについて
居室の面積等は、1人あたり7.5㎡以上を満たすことが求められます(*)。
 →7.5㎡は居室の広さであり、玄関や浴室、トイレ、キッチンなどの面積は含まないので注意が必要です。

*技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更する場合等で、住んでいた社宅等に住み続けることを希望する場合を除く。

[任意的支援]
外国人介護士との雇用契約の解除・終了後、次の受入先が決まるまでの間、住居が必要な場合には、介護施設で上記の支援を行い、外国人介護士が日常生活を送れるように配慮することが望まれます。

賃貸借契約は誰が連帯保証人になるのか?

住まいについては、外国人介護士が希望する物件情報の提供や不動産仲介業者の紹介、また必要に応じて同行して住居探しをサポートすることになります。日本で暮らしていても、見知らぬ土地に急に転居が決まったら、どこに不動産仲介業者があるのか、家賃の相場もわからず、途方に暮れるかもしれません。これが国際的な話なのですから、支援が必要なことは想像できるでしょう。

前出の①の賃貸借契約については、住居の賃貸人から「介護施設が連帯保証人になるのではなく、介護施設が賃借人となって欲しい」と言われることが考えられます。その場合は、外国人介護士が適切に住居を確保できるように、②の支援を含め必要な支援を行うことになるでしょう。

また、①で家賃債務保証業者を利用した場合には、保証料は介護施設が負担する必要があります。

そして、敷金・礼金を払うのは誰なのでしょうか? 基本的には賃借人である外国人介護士の負担ですが、介護施設が負担するのは差し支えありません。これも渡航費や教育費の負担と同じパターンです。

いずれにしても、①と②の場合には、外国人介護士の住居への入居から明け渡しまで、円滑に進むように適切に支援することが求められます。

ほかにも、家賃は近隣の同程度の民間賃貸住居の賃料相場を超えないこと、また社宅等を提供する場合には、他の入居者の家賃の額と同等であることが求められています。

そして、こうした住居に関する支援は、外国人介護士の離職が決まった後も特定技能雇用契約中は引き続き行うことが求められているので注意しましょう。

社宅の場合の条件は?

もしも介護施設に社宅等がある場合(前出②③のケース)、日本人労働者に社宅を提供しているのであれば、外国人介護士にも、日本人介護士と同じように社宅を提供しなくてはいけません。部屋の広さについても、同等の広さを確保することが求められています。外国人介護士は日本人と同等の業務を行うのですから、処遇については同等のレベルを確保する必要があるのです。

社宅の目的からして言うまでもありませんが、介護施設は社宅等を貸与することで経済的利益を得てはいけないと定められています。

介護施設で借上げ住宅を社宅とした場合を考えてみましょう。

例えば、家賃が6万円として、そこに2名で住むなら一人当たりの3万円、3名で住むのなら一人当たり2万円の家賃負担となります。

また、外国人介護士は日本で働いて貯金をするために来日しているケースがほとんどです。そのため複数人で同居して家賃負担を軽減しようという傾向も強いといえます。本人の同意が必要ですが、同居を嫌がるよりも、むしろ歓迎する人が多いでしょう。

(3−2)生活に必要な契約に係る支援

外国人介護士が来日したら、まずは給料を振り込むための預貯金口座を開設するなど、生活に関する支援を行う必要があります。こうした銀行への同行も支援計画に含まれています。

【生活に必要な契約に係る支援】

[義務的支援]
金融機関での預貯金口座の開設、携帯電話の契約やその他の生活に必要な契約(電気・ガス・水道等のライフライン)に関して情報提供や窓口の案内を行い、必要に応じて外国人に同行するなど、手続の補助を行うこと。
 →給与振込口座の開設には、介護施設の付き添いが必要です。
 →携帯電話の契約をするかどうかは、外国人次第です。というのも、日本の携帯電話料金は高額なため、外国人は契約しないこともあります。
 →外国人が住む住宅にWi-Fi設備を設置することで、家族や友人とインターネットで連絡を取りやすくなるので設置をお勧めします。
 →生活に必要な契約である電気・ガス・水道等のライフラインの契約は、実態としては介護施設で実施することとなるでしょう。

[任意的支援]
生活に必要な契約について、契約の途中で契約内容の変更や契約の解約を行う場合には、各手続が円滑に行われるよう、書類提供や窓口の案内、必要に応じて外国人に同行するなど、各手続の補助を行うことが望まれます。

(4)生活オリエンテーションの実施

生活オリエンテーションは、外国人介護士が日本での生活を送るにあたり、注意事項などを知らせるものです。海外とは環境や気候もずいぶん違いますし、慣習も違います。オリエンテーションの内容はゴミの出し方をはじめ、台風などの気象情報や災害時の対応、そして法律など、多岐にわたります。


【生活オリエンテーションの実施】

[義務的支援]
○特定技能所属機関等において1号特定技能外国人が本邦に入国した後(又は在留資格の変更許可を受けた後)に行う情報提供(以下「生活オリエンテーション」という。)については、当該外国人が本邦における職業生活、日常生活及び社会生活を安定的かつ円満に行えるようにするため、入国後(又は在留資格の変更後)、遅延なく実施する必要があります。

○生活オリエンテーションは、1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

○生活オリエンテーションは、1号特定技能外国人が十分に理解できるまで行う必要があり、個別の事情により異なりますが、少なくとも8時間以上行うことが求められます。

(法務省 1号特定技能外国人支援に関する運用要領 —1号特定技能外国人支援計画の基準について— より)


生活オリエンテーションを行う場合は、生活オリエンテーションの確認書を外国人介護士に示して、内容を確認の上、署名を得て記録しておきます。

生活オリエンテーションで提供する日本の生活一般に関する事項、防災や防犯に関すること、急病やその他の緊急時の対応に必要なことなどは、後述する定期的な面接で改めて提供することが求められています。

法務省では、情報の参考として、外国人の安全・安心のために必要な基礎的な情報を掲載したポータルサイトやガイドブックを用意しています。

○外国人支援ポータルサイト
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00055.html

○「生活・就労ガイドブック」http://www.moj.go.jp/content/001307764.pdf

【情報提供する内容は多岐にわたる】

日本での生活一般に関しての支援は、以下のように定められています。

[情報提供しなくてはならない事項]
①金融機関の利用方法
②医療機関の利用方法等
③交通ルール等
④交通機関の利用方法等
⑤生活ルール・マナー
⑥生活必需品等の購入方法等
⑦気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等
⑧我が国で違法となる行為の例

例えば、交通ルールについては「歩行者は右側通行」「自動車やバイク等を運転する場合は運転免許が必要」など、日本人にとっては当たり前といえるルールですが、外国人にとっては必ずしもそうとは限りません。ひとつひとつ説明が必要なのです。

生活ルール・マナーでは、ゴミの分別や出し方、収集日、粗大ゴミの捨て方など、地域によって異なる廃棄方法等の説明もあります。また、夜中に大声で騒いだり騒音を出したりしないなど、近隣住民の迷惑になる行為を控えるといったことも伝える必要があります。

地域で暮らすにはルールに従うことが大切であり、オリエンテーションではさまざまな場面でのルールを説明し、支援することになります。

【各種の手続き、防災・防犯などの情報も】

1号特定技能外国人は、さまざまな手続きが必要になります。支援のなかでは、介護施設は、必要に応じて手続きのサポートを行うことが定められています。

[情報提供しなければならない事項]
①所属機関等に関する届出
②住居地に関する届出
③社会保障及び税に関する手続
④その他の行政手続

外国人介護士がこれらの届出・手続きをする際には、必要に応じて介護施設が関係行政機関の窓口へ同行して、書類作成の補助をするなどの支援を行います。
特に国民健康保険や国民年金に関しては、外国人自身が手続きを行う必要があることから、手続きを円滑かつ適切に進めるために同行が望ましいとされます。

この他、相談や苦情に関しては、特定技能所属機関(受入れ機関となる介護施設)や登録支援機関などにおいて相談や苦情の申出に対応する者の連絡先、国や地方公共団体の機関の連絡先などを示すこととされています。

また、外国人介護士が十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関について、以下のような内容が定められています。

・外国人患者の受入れ体制が整備されている病院の所在地や連絡先
・予期せぬ病気やけがの際に、高額な医療費の支払いに不安を感じることなく、安心して医療サービスを受けることができるよう、医療通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内

さらに、防災や防犯に関する事項、急病などの緊急時の対応については、次のような内容が定められています。

[情報提供しなければならない事項]
・トラブル対応や身を守るための方策(地震・津波・台風等の自然災害、事件・事故等への備え、火災の予防(たばこの不始末、コンロ・ストーブに取扱い、消化器の使い方))
・緊急時の連絡先・場所、警察・消防・海上保安庁等への通報・連絡の方法(110番・119番・118番、大使館・領事館、最寄りの警察署・交番、救急医療機関への連絡方法)
・気象情報・避難指示・避難勧告等の把握方法、災害時の避難場所

出入国や労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法や、外国人介護士の法的保護に必要な事項について、次のような内容が定められています。

[情報提供しなければならない事項]
・入管法令及び労働関係法令に関する知識
・入管法令に関する違反がある場合その相談先及び連絡先
・労働に関する法令違反がある場合、その相談先及び連絡方法
・特定技能雇用契約に反することがあった場合、その相談先及び連絡方法
・人権侵害があった場合、その相談先及び連絡方法
・年金の受給権に関する知識及び脱退一時金制度に関する知識、それらの相談先及び連絡方法

生活オリエンテーションを実施した場合、生活オリエンテーションの確認書を外国人介護士に示して、署名を得て記録することも定められています。

○生活オリエンテーションの確認書 http://www.moj.go.jp/content/001289200.pdf

「1号特定技能外国人支援計画」の内容等(5)〜(9)は次回に続く。

まとめ〜生活環境を整える

住む環境は生活の基盤を作る上でも大事なものです。外国人介護士が仕事の疲れをいやし、リフレッシュするためにも、快適に過ごせる場所を介護施設は一緒に考えたいものです。
また、生活に関するルールやマナーは国や地域、育った環境などによってずいぶん違うものです。自治体によってゴミの分別や出し方が違うので、引っ越し先や旅行先で戸惑った経験は、きっと誰にでもあるでしょう。海外から日本に来た人ならば、なおさらのこと。
外国人介護士が生活者として地域に溶け込み、できるだけストレスが少なく暮らせるように、可能な限り配慮したいものです。そうした介護施設側の親身な姿勢は、外国人介護士にも伝わるのではないしょうか。

次回は、介護施設が行う外国人介護士への支援について、生活面や各種契約、面談などについて取り上げます。

(参考)
○外国人生活支援ポータルサイト(法務省)
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00055.html



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